第78章 ぶつけ合いは必要
「髭切、あんたはどうなんだ」
「僕?僕はね、主のこと一目見て、一緒にお酒飲んで楽しくて大好きになっちゃったんだ。なんでだろうね、この子には魅力があるんだよね。僕は弟のえーっと、まぁ名前なんかいいかぁ、弟と新しく来たけど僕は主が誰を好きであろうとも主のことが好きだよ」
周りを気にすることも無く言った髭切に私は驚きが隠せない
「………主」
まんばちゃんが心配そうに私を見た
「…………私、愛されて、るんだね………私は、酷い人間だから、みんなを傷つける、逃げて逃げて、沢山逃げて、なのに皆は向き合ってくれる。こんな私なのに、なんで、こんなに皆やさしくできるの」
「それはアンタがオレ達を大切にしてくれているからだ。じゃなきゃこんなことはできねぇ。オレたちは付喪神だ。長年大切にされてきてる、だからだ」
兼さんはそう言った
「そうだね、大切にされてるからこそだよ。君は僕達をぞんざいには扱わないから尚更だよ」
兼さんに続いて光忠もそういい、髭切も口を開く
「主の霊力は暖かいからそれが滲み出てて心地いいんだ。だから、主は何も気にすることはないんじゃないかなぁ……過去に何があったか僕は知らないけど、これからもよろしく頼むよ」
皆に優しい言葉をかけられて涙ぐんだ
「……あり、がと………ありがとう」
「まぁ、とりあえず、主は自分の気持ちを押し殺すな。何かあったらとりあえず頼れ、いいな?」
兼さんの言葉に頷きながらはいと答えた
「主殿、大丈夫ですか?」
蜻蛉切さんの心配する声に大丈夫と鼻声で答えた
「さて、互いの言いたいことは言えただろう。夜ももう遅くなってきたし、これにてお開きにする」
まんばちゃんがそう言って終わった
とりあえず言いたいこと言えてよかったと思う
でもやっぱり皆が大切だと改めて感じた
自分の気持ちを押し殺すなと言われたのはびっくりだったけど、みんな受け入れてくれると思うと少し心が軽くなった