第49章 募る不安
佳奈が眠ったまま1週間が過ぎた
「あるじさま!きょうは、はれててきもちがよかったです」
「主様、雪が積もってて、皆さんと雪合戦しました」
1週間毎日、誰かしら佳奈の元へ訪れては、その日にやったことやその日あった出来事を話していた
「いつになったら、めをさましてくれるのでしょうか」
今剣の声は誰も答えることなく部屋に消えた
「今剣、五虎退、そろそろ夕餉だ」
岩融が呼びに来て、今剣と五虎退は部屋をあとにした
広間に全員集まるも活気が無かった
佳奈が意識が戻らないままのご飯は、会話も少ししかなく暗いものだった
「……なぁこんのすけが言ってたことは本当なのか?」
「さぁな俺にはなんとも。大将にしかわからないな」
愛染と薬研は少し静かな広間でそんな会話をしていた
「……主は僕達のこと嫌いになっちゃったのかな」
「安定、怖いこと言うのやめてよ」
「前に本で見たんだ。人間は嫌なことから逃れるために起きないこともあるって」
「あ、あるじさんは、そんなことない!ボク達のとこに来る前の世界で、ボク達のことを好きって言ってたじゃん!」
乱が大和守の言葉を否定するように叫んだ
思う事はそれぞれで、それぞれに不安が募っていくばかりだった