第7章 癒やしがほしい
だいたい出来てきた時、ドアの開閉音に混じって涼の疲れきった声が聞こえた。
「ただいまー…」
「おかえり涼!」
濡れた手をパパっとエプロンで拭き、急いで玄関に向かう。
と。
「うわっ!」
涼が私に体重をかけてきた。
よろけたけど、慌てて体制を立て直し、涼を支える。
「伊織〜…疲れたぁ…」
私を抱きしめるようにして、そう呟く涼は、何だか可愛くて、思わず頭をなでる。
「よしよし。お疲れ様。ご飯にしよっ」
「えっ?!伊織作ってくれたの?食べる〜!」
さっきまでの気だるそうな声はどこへやら。
パッと顔を上げて私の手を引き、リビングに向かった。