第5章 かっこいい姿
「〜〜!!!!もうっ!なんでダメなの?!遊都のドラマ、なんで見ちゃいけないの?!?!遊都のこと応援しちゃいけないの?!?!」
私は家に居て、遊都のことを出迎えることしかできないから。
せめて、頑張ってる遊都をテレビ越しにでも応援したいのに…!
涙目になって、涙声になって、とうとう堪えられなくて泣いてしまった。
遊都は急に泣いた私にびっくりしたようだった。
少しバツの悪そうな顔をして、ゆっくり口を開いた。
「あの…ね、俺、伊織以外の女の子に恋したり、恋されたり、伊織以外の女の子にかっこいい顔見せたりしてるの、見て欲しくなくて…」
へ?
「それに、このドラマ、今回はヒロインとのキスシーンがあるし…余計に見られたくないって言うか…」
「え、別にー…」
"ドラマの中の話だから気にしない"って言葉は、佑都に遮られた。
「お・れ・が!気にするの!」
「俺、ドラマでは役になりきって、完全に別人になってるけど、でも見る側…伊織からしたら、それはやっぱり遊都だから。『好きだよ』って言ったり、『愛してる』って言ったり、キスしたり。そういうの、俺からしたら俺じゃないけど、伊織からしたら俺だから…あぁもう!なんて言ったらいいかわかんないよ!」
とにかく。見て欲しくない!
って、子供みたいに言い張る遊都。
ドラマのセリフはつらつら出てくるのに…
言葉がぐしゃぐしゃになって詰まっている遊都を見ていたらおかしく思えて、ふふ。と、声が漏れた。
「おわかり…いただけましたでしょうか…?」
縮こまって私を見る遊都。
はぁ。そこまで言われたらしょうがないか…。