第3章 そうゆう事
玄関で靴を脱ぐと、すぐに先輩の部屋に通された。
「わぁ…!」
そこには本、本、本。
参考書に小説に、よくわからない分厚い本。
眼鏡をかけていて、いつも本を読んでいるような先輩の雰囲気そのまんま。
本は多いけれど、きちんと本棚に並べられて整理されている。そこがまた先輩らしい。
「なにか、読みたい本があるなら読んでいい。」
そう言いながら、いつの間に持ってきたのか、ウーロン茶とオレンジジュースがテーブルに置かれる。
オレンジジュースが好きって、前に言ったのを覚えていてくれたんだろうか。と、ちょっと嬉しくなる。
「じゃあ、これにします!」
私は沢山の本の中から1冊を選び、先輩に表紙を見せた。
先輩は「ん」とだけ返事をすると、自分も本を手に取り、『ここに座って』と、自分の腰を下ろした隣をポンポンと叩く。
いそいそと先輩の隣に座り、互いに寄りかかるようにして二人で本を読み始めた。