第2章 名前呼び
「え…」
「春香に言われたからするんじゃないんだ。いや…きっかけ的にはそうなったかもしれないけど…」
はは。と少し困ったように笑うと、途端に真剣な顔になった。
普段はホワンとしているから、なんだか慣れなくてムズムズする。
「本当はもっと前から言おうと思ってて。指輪も、買ってあったんだ。でももし、断られたらって思うとなかなか言えなくて…」
せっかく格好よく言い始めたのに、やっぱり最後はいつもの小柴さんだった。
「…ない」
「え?」
「断るなんて、あるわけない!!ずっと、ずっと一緒に居たいもん!小柴さんが好きだもん!!」
気づけば嬉しさでボロボロと泣いていた。
「えっ、わ、な、泣かないで?ごめん、そうだよね。もっとはやく言えばよかったね」
よしよし。って、子供にするみたいに頭をなでられる。
ありがとう。
呟けばにっこり笑って、こちらこそ。よろしくね。って。