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【東京喰種:re】カンツォニエーネ【夢小説】

第21章 失敗と本能



『やめろ!』

私の叫び声で動きを止めた喰種に蹴りを入れる。

静かに泣いていた子どもの腕をなんとか掴んだ。

『逃げて!』
「足が…。」

子どもの血だらけの足を見る。

歩くのは無理か。

これは絶望的だ。

今からどんなに急いだって瓜江くんはあと10分は来ない。

『何してるの。』
「いや、お前こそ何してんだよ。俺は喰種だぞ?殺されに来たのか?」

立ち上がりながら本気で訳わからないと言ったように喰種が答える。

よし、対話する気はあるらしい。

『私は喰種捜査官よ。クインケも持ってるし、あなたには負けない。』
「じゃあクインケ出せよ。」

喰種はそういって赫子を伸ばしてくる。

『っ、尾赫?』
「だからどうした。」

尾赫だ、羽赫に弱い、ツイてる。

『どうしてこの子を狙ったの?』
「一人でいたんだよ。子どもの方が美味しい。このご時世で子どもを一人で歩かせるなんて、こいつの親は何考えてんだか。」
『子どもの方が美味しいんだ。』

間髪入れずに質問することで会話を続けようとする。

「ああ、俺はな。お前は子どもいないのか。」
『いない。子どもより私の方が美味しそうじゃない?』
「違う意味の美味しいならそうだろうな。つーかさ、お前なんで殺しに来ないんだよ。」


ひょっとして、そのクインケ使えないんじゃね?


もう誤魔化すのも無理だ。


『使えるよ。初めてなだけで。』


クインケのスイッチを押す。


体が飲み込まれていくような感覚。



これは自分の味方だから、CCGが与えてくれた羽だから。

必死にそう言い聞かせるしかなかった。









あーあ、オークションの時に書いた遺書、丈さんに持っててもらえば良かったなぁ。


泣きそうだ。


なんであの時、倉元の胸で泣いておかなかったんだろう。




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