第7章 抱擁の習慣
「はい。」
『うううん…!』
才子ちゃんにマイクを近づけられる。
ちょっと高い甘めの声出してねえさん、なんて言われても。
『そ、そんな声どうやって出せって…!』
「ねえさんそんな声出したことないの?」
『才子ちゃぁん…。』
経験とかの問題じゃない。
『琲世くん喘いで。』
「うん、無理です。」
『見本聞かせて、不知くん部屋に引っ込んで!!!』
「ねえさん、シラギン耳良いからどこにいても聞こえるんよ。」
最終的に私が情けなくきゃあと叫んだ声が収録された。
あれただの悲鳴だったんだけど大丈夫なのかな。
大切なのはトーンなのか。
ヘルツ?
分かんないけど。
すぐに編集すると部屋にこもった才子ちゃんと、瓜江くん以外の三人とダイニングテーブルに腰掛ける。
「実際くらもっさんってユウさんのことどう思ってるんだろう。」
実際って何よ。
前もこんな話しなかったっけ?
「オークション終わった後に抱き合ってたんだよね?」
『それ誰から聞いたの。』
思わずため息を吐いてしまう。
「さぁ、女性職員が噂しているのをアキラさんが聞きつけてた。」
それはめんっどくさい。アキラちゃんめ。
『私が平子班に入ってからはいつもあんな感じだけどな。大きな戦いの後はあれをしないと落ち着かないっていうか。』
「へぇ〜。」