第1章 消えない過去、消せない過去
下に降りその女を見てみれば左肩から血を流しているのが目に入った。
一瞬だったが銃痕が見え、誰かにやられたと直ぐに分かった。
銀時の姿に気付く新八と神楽は何やらうんざりした様な顔で銀時を見た。
「銀さんこんな所で何してるんですか?」
「そうアル、さっきまで俺には関係ねぇ!とか言ってたクセに。」
「え?いや〜、俺の股間センサーが反応したってゆうか…ぐほっ!!」
銀時の言葉を聞いて二人は同時に銀時に殴り掛かる。
「何いやらしい目で見てるアルか!!キモいんだよ死ねよ腐れ天パァァ!!」
「アンタって人はつくづく呆れますよ!!」
「いででででっ!!やめろお前ら!!」
「ちょっとお前達今は喧嘩してる場合じゃないだろ!この子の手当が先だよ!!」
血を流し倒れる女の横で喧嘩を始める三人にお登勢が怒鳴る。
すいませんと喧嘩を辞め、ゾロゾロとその女を囲むようにして覗き込む。
まだ息はあるようだったが出血のせいか顔色が余り良くなかった。
「銀時、ちょいとこの子を上まで運んでやんな。」
「はァ!?何でわざわざ俺んちに連れ込むんだよ!お前ん所でいいだろうが!!」
「場所が無いんだよ。一通り揃えたら上に行くから、よろしく頼んだよ。」
何故か押し付けられてしまい、如何にも嫌そうな顔をして仕方無く女を抱き抱える。
部屋に運ぶため階段を登っている途中、無造作に着られた着物の裾から見える足にふと目が行く。
そこには薄らだが引っ掻き傷の様な物が見え、銀時は不快に思った。
「銀ちゃんその子大丈夫アルか?」
「これくらいの出血なら大丈夫だろうよ。」
「でも何があったんですかね?」
「そんなもん俺に聞くな。起きたらコイツに直接聞きゃぁいいだろ。」
そんな会話を交わしながら銀時は和室まで女を運び、先程まで寝ていた自分の布団の上にゆっくりと寝かせた。
「ここで寝てたらきっと銀ちゃんの加齢臭で飛び起きるネ。」
「神楽ちゃん?銀さんまだ加齢臭出てないから。いい男の匂いしかしないから。」
相変わらずしょうもない会話をし、三人はお登勢が部屋に来るのを待った。