第3章 初ステージ!?初ライブ!?
『わたし、そろそろダンスのレッスンに戻らないと』
「もうそんな時間ー?」
『そうです。さあ、出ますよ!』
えー、と言いながらも玄関に向かう。
「あ、そうだ」
わたしの前にいた下野さんがこちらを振り向く。
「俺、ライブ観に行くから」
『······は?』
「だーかーらー、一ヶ月後のライブ観に行くからって」
『なんでっ!?』
「可愛い後輩の成長を応援し、見届けるのが俺の役目だから?」
いや、そこを聞かれても····。
『どうやって!?』
「どうやって、って····ふっつーに」
『バレますよ!?』
大丈夫大丈夫、と手をひらひらとさせる。
「そこは····ほら、ちょっと頼み込んだから、ね?」
ね?って言われても·····。
『頼み込んだって、誰にですか?』
「それは····社長に」
『なにやってるんですか·····』
この大人は本当に、誰よりも子供だ。
その証拠に、またそうやって無邪気に笑う。