第3章 初ステージ!?初ライブ!?
『どうぞ。狭いですけど···』
ドアを開いて下野さんに中へ入るように促す。
「お、お邪魔、します」
とは言ったけど、玄関で立ちすくんだまま一歩も動かない。
『入らないんですか?』
「は、ははは入るよっ!?」
なぜか声が上ずっている。
やっぱり異性の部屋に上がるのって緊張するもの····?
◇◆◇◆◇◆◇◆
わたしの借りているアパートは1K。
部屋に置かれた机に皿を置き、唐揚げをのせる。
それも3種類。
見た目では何が違うのか分からない。
「これは醤油味で、これは明太子で·····これはマヨ!」
醤油味は美味しいだろうけど·····。
本音が漏れそうになり、思わず手で口をおおう。
『あの、唐揚げがお好きなんですか?』
「そうだよ。料理も好きだから色々作るんだ」
意外····。
料理が好きなんだ····。
『それじゃあ、下野さんが作った唐揚げが食べたい』
気づかないうちにそう口に出していた。
「え?」
下野さんが目を見開いてこちらを見る。
『あっ···、急にすみません!食べてみたいな、と思ってたらつい口に····。気にしないでください』
下げていた視線を下野さんに向ける。
『あ·····』
「いいよ。次は作ったのを持ってくるね」
そう言った下野さんはものすごく優しい目で微笑んでいた。