第2章 はじまり
ー「華はなんでお兄ちゃんが
死神になったのか知ってる?」
ー『知らない!なんで?』
ー「それはね…華やお父さん、
お母さん、隣のご夫婦、いつも遊んでる友達、 みんなを守るためなのよ…決して
出世して偉くなろうとしてるんじゃないの」
ー『守るため……』
ー「そうっ♪
だからね、華がもし
大きくなって死神になるなら、
全部守ってなんて貪欲なことは
言わない…せめて、
せめて目の前の守らなきゃいけない
存在に躊躇わず手を差し伸べられる…
そんな大人になって欲しい……」
ー『うん、分かった!!』
ー「…!ふふ、ほんとに分かってる?」
そうだった……
私は…
『だからね…だから、お姉ちゃんと
一緒に行ってもいいですか?!!』
「…っ!!」
私よりも小さなこの少女は
悲しみを乗り越えようとしている
それなのに私ときたら
『ねぇ、あなた名前は?
名前はなんていうの?』
「えと…ら、蘭です……」
『蘭……』
「お姉ちゃんは?」
『私は水無瀬華…
ねぇ、蘭っていう花の花言葉
知ってる?』
「…知らない」
『蘭の花言葉はね…
〝幸福が飛んでくる〟
しあわせって自分で掴み取る
ものってよく言うけど…
私はね、頑張って頑張って
一生懸命努力した人のとこには
しあわせが飛んでくるって…
そう思うの……
あなたのお父さんとお母さんも
そういう願いを込めて蘭って
名前を付けたのかもねっ』
「しあわせが飛んでくる………」
『一緒に行こう!!
そんでもって、一緒に強くなろう!』
「うんっっ!!!」
これが後に妹のような存在と
呼べるまでになる少女との出会い
私たちは夜明けの暁光の中で
固い決意をした