第8章 真央霊術院
さっきの声の主に手を引かれ、しばらく走ると、人気のない中庭の辺りまで来ていた。
「ふぅ…ここまで来れば大丈夫だろ。大丈夫か?あんた」
なんと、私を助けてくれたのは、授業中私が見ていた男の子だったのだ。
『わ、私は大丈夫だけど…さっきのあなたがやったの?』
「さっきの?」
その男の子は、心当たりがないかのように首を傾げる。
『さっきの男達がいきなり叫びだしたやつ!』
「あぁ、あれか!あれは俺の発明品の実験台になってもらっただけだから気にすんな!」
『は、発明品…?』
「そ!高圧電流発生装置!!動力は使用者の霊圧だから、霊圧の高さ次第でいくらでも強力になる!ただ…」
『ただ?』
「機械が電流に耐えられなくて、一回使うとぶっ壊れるからまだまだ未完成だけどな!」
そう言ってそこの子は楽しそうに笑った。
『…ふふっ』
「……?」
私が小さく笑ったのを見て、不思議そうにする彼。
『いや…あなたって優しいのね!』
「…は?どこが?」
私の言葉に心底分からないという顔をする。
『その発明品、まだ改良の途中だったんでしょ?でも、私を助けるために使ってくれたところかな…!』
「っ……何でまだ改良中と思ったんだ?」
私に本当のことを言い当てられたのが恥ずかしいのか、微かに頬を赤らめて聞く。
『ずっと、何かをいじってる子がいるなって見てたから!』
「ふーん……あんた、名前は?」
『私?私は水無瀬華!もし良かったら私とお友達になってくれない?』
私がそう言って手を差し出すと、男の子は少し驚いた顔をしたあと、笑ってその手をとってくれた。
「俺は阿近ってんだ!まぁ、よろしくな!!」