第8章 真央霊術院
『蘭ー!早く早く!遅れちゃう!!』
「待ってー!!」
今日は真央霊術院の入学式。
あの後、一角と弓親と別れた私たちは蘭に私から卒業することを言い渡した。
散々渋っていた蘭だったが今年の真央霊術院への入学試験を受ける事を伝えると、すぐに機嫌は治った。
まあ、結果はご存知の通り、真央霊術院へは2人とも難なく合格、更に蘭は成績上位者が集まる特進クラスに入ることが出来た。
私?私は普通のクラスに入ることになった。大勢の先生と生徒がいる中での試験、人前で本気をないというのが喜助さんとの約束だからだ。
──「いいっスか華サン。貴女の力は大きい、更にその力は未だ発展途上っス。だから貴女は力を抑えることを覚えなきゃいけない。それにしても貴女の力は大き過ぎるので、この霊圧制御装置をお渡ししまス」
力の加減は案外難しい。
その事を夜一さんと喜助さんに話すと、喜助さんは私の為に霊圧制御装置を作ってくれた。
──「通常上位席官が現世での任務に就く場合、現世の霊なるものに影響を及ぼさいように霊圧を極端に制限しまス。その場合の限定率は約80%。しかし、これはアタシが華サン専用に作った装置……この霊圧制御装置の霊圧の限定率は…99.9%っス!」
最初こそ力の制限に慣れないこともあったがそれももう慣れたもので、案外この霊圧が制限された状況でも平気なものなのだ。
まあ、この残り滓みたいな霊圧でもかなり大きくて、制御するのにはかなり苦労した。
ちなみに、その霊圧制御装置は深碧の石がついた綺麗なネックレスで「女の子ならお洒落の一つや二つしたいでしょ〜?」という喜助の気遣いらしい。