第6章 訃報
しばらく白虎を撫でていると、ふと妹の蘭の事を思い出した。
『…あ、私、蘭のこと放ったらかしのままだった』
私が思い出したように言うと、麒麟がそれに相槌を打つ。
《そうだね…きっと僕達同様、彼女も君のことを心配しているはずだ。君とも少し話せたし、そろそろ僕等は引っ込もうかな》
そう言うと麒麟は私に近づいてきて私の手を取ると、その手にそっと口付けて言った。
《忘れないで…僕等はいつでも君の、華の味方だからね。辛いことや悲しいことがあったらいつでも僕等を頼って》
『………ありがとう、みんな』
それは私の心の底からの言葉だった。
みんなの優しさが嬉しい。
みんながいるこの空間が暖かい。
みんなのおかげで私はまだ折れずにいられそうだ。
兄の死は悲しい、だけど、それを乗り越える力をもらった。感謝してもし足りない。
だから、みんなの気持ちに応えるためにも、私は強くなろうと思う。
誰かを守れるように。