第6章 訃報
私と蘭が更木での生活兼修行を始めてから実に10年の時が経とうとしていた。
私の見た目は17、8才くらい、蘭は14、5才くらいと2人ともずいぶん成長した。この10年で成長したのはもちろん見た目だけじゃない。戦闘面についても2人ともかなり腕を上げたと思う。
変わったことといえば、蘭との関係くらい。
出会って間もない頃はお互いまだ少し距離があったけど、その距離も10年でぐっと縮まって、自分で言うのもなんだが本当の姉妹のようになれたと思う。
お姉ちゃん呼びだったのも今では「姉さんっ!」
『っ!もう…いきなり後ろから抱きつくのやめてって言ってるでしょ!びっくりするんだから…』
はぁーいと間延びした返事をしながらも更にぎゅっと抱きついてくる蘭。
こうやって姉さんと呼び慕ってくれる蘭とは血が繋がっている姉妹以上に仲良しな自信がある。
話は遡って7年前、そんな私たちの元に一人の死神によってある訃報が届けられた。
_______________7年前
「う〜ん!!やっぱり日向ぼっこは気持ちいいねぇ〜」
『眠くなっちゃうねぇ〜』
体をいっぱいに使って伸びをする蘭。
今私たちは修行の合間の休憩で私たちのお気に入りの場所に来ている。
静かで太陽の光がいっぱいに降り注ぐ明るい平原は更木の近くにしては珍しく平和な場所で、のんびりするにはもってこいの場所。
吹き抜ける心地好いそよ風に目を瞑ると、どこからか鳥の鳴き声が聴こえてくる。
何気なく意識を外に戻した時だった、近づいてくる見知った一つの霊圧。
横で寝そべっていた蘭も気づいたようで、むくっと体を起こして霊圧が近づいてくる方向を向く。
暫くすると、林の中からその霊圧の持ち主が姿を現した。
「こんにちは〜!お久しぶりッス〜」
そう、いつも通りの口調といつも通りの表情でやってきたのは喜助さん。
「わぁ!やっぱり喜助さんだ!」
その姿を視界にいれるなりすぐに立ち上がって駆け寄ったいく蘭。
私もゆっくり立ち上がってそれに続いた。
『お久しぶりです、喜助さん!』