第1章 出逢い
『そうなんだ~!あ、そうだ!お兄さん、ちょっとついてきて!』
そう言うなり、少女は僕の腕を引いて人混みの中、ぐんぐんと進んでいく。
背が低く小柄な少女は人をすり抜けていけるが、背の高い僕は人を避けるのに必死だった。
『着いたよ』
目の前にあるのは、木で造られた可愛らしい家だった。
よく見ると、2階建てのその家の1階は、扉がなく、花が綺麗に並べられていた。
「ここは花屋かい?」
『ええ。わたしが開いている店なの』
「君が?」
正直、驚いた。
10代そこそこの娘が店を開くなど·····。
『まあね。わたし、こう見えてもう17よ。それくらい出来るわ』
「17?」
『やっぱり、驚いた顔。何歳だと思ってたの?』
「15くらいかと」
『ふふ、よく言われる』
彼女は店内に入って、すぐにまた戻ってきた。
1輪の花をもって。