第2章 水面に映る女神様 ~沖田 編~
岩場の影から現れた盗賊らしき男たちから、女の子たちを背後に隠す。相手の数は5人ほど。ニタニタしながら、僕達の背後にいる女の子たちに視線を向けている。
「いい女、連れているじゃねぇか。男に用はない。女と有り金全部を俺たちに差し出すなら、命だけは助けてやってもいいぜ。」
「悪党の決まり文句だよね。って言うか、そんな口約束を信じる馬鹿なんているの?」
「グダグダ言うなら、問答無用であの世に行かせてやるぞ!!」
親分らしい男が苛立ちを顕にすれば、子分の男たちもそれに倣う。花っから交渉なんてするつもりなんてないくせに、随分な言われようだ。
「生憎だけど、あの世に行くのはゴメンだな。」
「だった……っ!!?」
僕は女の子たちを近藤さんに託し、一人の盗賊を斬り捨てた。(峰打ちだけど)
「僕達の変わりに、君たちにあの世に言ってもらおうかな。仕掛けてきたのは、君たちの方だしね。」
「テメェ!!言わせておけば!!!」
盗賊たちが一斉に、僕と近藤さんに向かってきた。でも……簡単に殲滅しちゃった。弱かったな……。
「華ちゃん。縄とか持ってる?」
「あります。」
鞄から取り出したのは、頑丈な縄だった。この縄は華ちゃんが作ったもので、とってもしっかりした造りだった。
「縛ってね。」
「もち……。」
受け取ろうとした縄は、それ自体に意志があるようで、独りでに動いては盗賊たちを縛り上げてしまった。またしても僕たちは呆然。
「お疲れ様でした。どうやら、流れ者の盗賊たちのようですね。町に着いたら、兵士の方に報告しましょう。では、行きますか。」
「えっ、盗賊たちはこのままにしておくの?」
「はい。この縄は、そう簡単には解けませんから。」
怪物のこととか気になるけど、盗賊がどうなろうが僕にはどうでもいい。ってことで、町に向かって歩き出した。盗賊たちが何やら喚いているけど、無視することにしたんだ。
「総司。」
「何ですか?」
「錬金術と言うのは、凄いものだな。」
「そうですね。ワザワザ、錬金術を人の為に使いたいって言った意味が分かりました。」
悪用されたら、大変なことになりそうなのは一目瞭然だしね。それはそうと、盗賊たちが現れても驚き一つもなかったな……。潜んでいたのに気付いていた?