第2章 水面に映る女神様 ~沖田 編~
翌朝、僕たちの気持ちとは正反対にいい天気だ。初めて食べる【サンドイッチ】は、色々な食材が挟んでいて、更に色鮮やかな見た目。食べやすくて、とても美味しかった。(近藤さんは、物足りなさそうだったけど)
そして身仕度を整えては、小屋を出た。華ちゃんは僕たちに少し離れるように言ってから、小屋の扉の取っ手に手を翳した。
すると……目の前の空間が歪み、小屋が手の中に吸い込まれていったように見えた。華ちゃんの手には、手の平に収まるくらいの大きさの家のようなものがあった。残された場所には、ただの草花が存在している。
「小屋が……持ち運び出来るの?」
「はい。頑張って作ったんですよ。」
頑張って作ったって……頑張ったら、作れるものなの?華ちゃんは鞄の中に、玩具のように見える小屋を入れた。
近藤さんは……開いた口が塞がらないようで、呆然としていた。これは、近藤さんじゃなくても、誰でも驚くと思う。
「じゃぁ、行きましょう。」
僕たちは、二人の後をついていく。
「総司。この世界には、奇怪な出来事があるんだな。我々の世界とは違い過ぎる。」
「そうですね。今は、この現状を把握することが先決だと思います。それと……僕達以外に、この世界に来ている隊士たちがいるかもしれないし。」
「そうだな。他の隊士たちか……。」
僕達は森の中を、只管歩いた。そして、昼を過ぎた頃になって、要約森を抜けることが出来た。そして、僕達は広がる景色にまたしても呆然としてしまう。
「あれは……町なのか?」
「ええ。私たちが住んでいる錬金術の町【アルケミア】。一際大きい建物が、この国を治めている王族が住んでいます。後、同じ建物が三つ連なっている建物が、錬金術の学校です。」
遠目に見てもかなり大きな町だった。そして何よりも、その大きな町を囲う城壁のようなものが周りに存在している。
「少し休憩しましょう。」
華ちゃんの鞄から、小屋が出された。近藤さんも僕も分かっていても、驚きを隠せないでいた。中に入れば、今度は白いご飯に焼いた魚や汁物を出してくれた。
少しの休憩の後、僕達は再び歩き出した。所々には、岩場も存在している。やがて、僕達は立ち止まった。理由は、周りを囲まれたから。