第2章 神父
「…カラマツ神父?」
「……っあ、な、何だシスターか。何かようか?」
思わず瞑想に浸っていて、シスターが隣にいたのに気付けなかった。
「いえ…特に用事はありませんが、神父、たまに思い悩んだ表情をしていたので、心配になって………」
シスターの枯れた声がする。
きっと私を心配しているのだろう。
だが、何もないと言ったら嘘になる。
彼女に心配をさせたくなくて、神父は素直に口にした。
「___少し、昔の事を思い出してた。」
「そうですか、神父は昔、どんな子供だったんですか?」
子供。
神に子供など存在しない。
子供に政治など出来る訳もなく、天界の子供は天使に限られた。
生まれながらの神であるカラマツに、子供の時などない。
「____大人しく、もの静かな子だったな。」
カラマツは嘘をついた。
カラマツに子供の時がないので、代わりに、彼が神だった時の性格を述べた。
「そうなんですか、私とは正反対なんですね。私は子供の時、元気で男の子みたいでしたから。」
クスクスと、シスターが笑う。
自分とは正反対の性格に、何が面白いのか。
「でも、思い悩んでいなくて、何よりです。あ、私、神様にお祈りしてきますね!」
シスターは笑顔で、去っていった。