第1章 天界
なれる。なれる。
堕天使に、成れる。
ただ、怖い。
三人も、怖かった筈だ。
怖い怖い怖い。
誰か僕を天界から落として。
『いいよ!』
《聞こえた!聞こえたよ!
僕がイチマツ君の願いを叶えてあげる!
イチマツ君を
悪魔にしてあげる!》
誰かの声が聞こえた。
背中を軽く押されて、ふわりと落ちて行く僕。
初めて、羽根で飛べたような気がする。
その白い羽根がゆっくりと黒く染まり、塵のように空へ散ってゆく。
そして、僕自身も黒く染まる。
視界がぼやける。
あぁ、天界が遠くなっていくなぁ…
上にジュウシマツが立っている。
僕に届くはずもないのに手を伸ばして。
だってジュウシマツが悪魔になったらって言ったんだろ?
だからなったんだよ。
三人の罪滅ぼしだ。
冷たい雨が一粒、焼け染まった肌に降った。
これが僕が、悪魔になった日。