第3章 再会
横に眠っていた身体を起こし、改めて魔界を見る。
イチマツは初めて、『黒』を見た。
黒い世界を見た。
魔界は、人間達が想像するような世界で、地獄とかはちょっと違う。
冷たい空気が肌を伝う。
こんな世界で生きてきた奴らがいたのか。
俺はこんな世界で生きていけるのか。
いや、もう死んでるけどさ。
あ、そういえば…
「兄さん、トドマツは?」
「あぁ、アイツなら常に部屋に隠ってるよ。なんか、魔界はいつまでたっても慣れねぇらしい。挨拶してけば?」
「…そうする。」
トドマツは、元気にしてるのかな。
俺を、怨んでるのかな。
俺は、嫌われてるのかな。
そんな幾つもの不安が、イチマツの脳に埋まってゆく。
「…トドマツのとこ、行こ。」
イチマツは、そんな不安を身体に抱き、歩き出した。