第13章 きっかけ(SO) ⅰ
それから、
近くのカフェに入って
初めて、"客と店員"としてではなく
"知り合い"として、翔くんと喋る機会を得たんだ。
「なんか…緊張しますね(笑)」
翔くんが、アイスカフェラテを
ストローでかき混ぜながら言った。
「そうですね…(笑)
あ、櫻井さん、このあと、予定とか、ないですか?
時間とか、大丈夫ですか?」
「何も無い!(笑)大野さんこそ、大丈夫?」
「はい、家に帰るとこだったんで。」
「なるほど。」
「はい、」
いつも、普通に喋っているのに
なぜかこの時はお互い緊張して
最初は全く喋れなかった。
「大野さん、てさ」
「ん?」
「あ、てか、呼び方変えます?
まず、敬語やめます…?
いや、嫌だったら全然、いいんですけど、。」
「いいよ、じゃあ、翔くん」
「しょ、」
初めて、翔くんって、呼んだ時
翔くんは、何故かすごく動揺してて
この時は、嫌だったのかなって思った。
「じゃ、じゃあ、智くん?」
「ふふふ、なんか、変な感じ。」
「そうだね、(笑)」
でも、嫌だったわけじゃなくて、
照れてたんだ。翔くんは。
嘘みたいに整った顔をしていて
見た目はチャラそうなのに、
話すと真面目で
そんな翔くんのことが
俺はいつの間にか好きになってた。
それに気づくのは
もう少し先のことになるんだけど。