第63章 あーん(O&N)
「にのも食べればいいのに」
見るからに甘そうな
"スイーツ"を食べてる大野さんが言う。
「いいよ、俺は」
「…ちょっと、来てこっち」
「ヤだよ」
「いいから」
渋々
大野さんの隣に座ると
生クリームをたっぷり纏った
プラスチックのフォークを
俺の方に向けてきた。
「あーんしてあげる」
「…はい?」
「ほら早く、口開けてよ」
仕方なく口を開けると
生クリームの甘さと
いちごの酸味が口いっぱいに広がった。
「どう?」
「ん、まい」
不味くはないよ。そりゃ。
「んふ、でしょ?」