第8章 ふくしゅう、しませんか?
穂乃花side
E組での生活にも慣れてきたある日のこと。
突然、カルマくんに声をかけられた。
「ねえ?穂乃花はさ、復讐したいとか思わないわけ?」
ふくしゅう??
誰に?何のために??
「ごめん、話が全然見えないんだけど…」
「だから、C組の奴らにさ。
散々いやなことされて、復讐したいって思わないの?」
カルマくんは不思議そうに私を見る。
そ、そんなに見ないで…
…胸がきゅっと締まるような感覚になる。
「私は、そんなふうには思わないかな…。」
そう答えた途端、クラスのみんなは聞き耳をたてていたようで…
「なんで?」
「どういうことだよ!?」
と、一気に質問攻めに…。
さすがに苦笑いするしかなくて、
困っていたところを。
「まあ落ち着いてよ、みんな。
そんなに一気に質問されたら、
答えられるものも答えられなくなるって。」
カルマくんだった。
そして、カルマくんがそういうと、みんなは納得して
段々と静かになってゆく───
すごい。
なんという影響力なの?
そんなカルマくんの力に圧倒されていると。
「穂乃花〜?
みんな待ってるよ?」
また、カルマくんの1言。
その1言で我に返った私。
「あっ、ごめんなさい。
その、大した理由では、ないんだけど…。
私が相手に嫌な思いをさせてしまったから、
C組を追い出された。
ただそれだけのことだからだよ。
それに、こんなにも素敵なクラスに移れたんだもの。
むしろ、感謝してるよ。」
きかれたことを、答えた。
全部本当のこと。
確かに、復讐したいと思ったことがないといえば嘘になる。
だけど、クラスのみんなに不快な思いをさせてしまったのは事実。
当然の仕打ちだと思った。
少し恥ずかしくなって、下を向いた。
E組のみんなからはどう思われただろうか。
少し不安になって、顔をあげると…。