第1章 キミは宇宙の音がする (R18:灰羽リエーフ)
確かめてやろうと思ったのだ。
その、リエーフとやらを。
この興味はただの野次馬根性に他ならないのだけれど、こう毎日「リエーーーフ!」と叫ばれては誰でも気になるというものだろう。
「お! 瀬野さん!」
う、げ。
もう見つかった。
こっそり覗き見しようと思っていた私にとって、これは大いなる誤算だった。校舎四階にある音楽室から見下ろしているはずなのに、こうも簡単に見つかってしまうとは。
「今日もピアノの練習スかー?」
屈託のない笑みで問いかけてくる夜久くん、の、その隣。プラチナに近い灰色の頭を見つけて、なるほど、と合点がいく。
スラリと伸びた長い手足。
大きい、大きすぎる背丈。
間違いなくあれがリエーフだ。彼を叱るとき、どうしても見上げなければならないから、夜久くんは即座に私を見つけることができた。
我ながら名推理である。
夜久くんとしては、まったく全然釈然としないかもしれないけれど。