第16章 遊戯(R18:国見英)
背が高いひとはいいなあ。
そんなことをぼんやりと思いながら見上げる、きれいな横顔。
今日も英くんはお肌がつるつるだ。
そよ、という効果音がよく似合う微風が、彼のさらりとした前髪を揺らした。
ニキビひとつないおでこ。
白くなだらかな肌を撫でていったそれに、英くんはぐぐぐと眉根を寄せて不機嫌を返す。
「……弱冷房車、って、何なの」
がたん
ごとん
電車が揺れて、彼も揺れて。
「こんなの弱じゃなくて虚弱だろ」
恨めしげに送風口を睨んでいる瞳。
いつでも眠たそうな印象を受ける彼は、とてもとても暑がりだ。
クーラーの温度設定は常に16℃じゃないと気が済まないらしいと、チームメイトの金田一くんから聞いたことがある。
汗ばんだワイシャツをぱたぱたさせる、暑がりな彼。びっくりするくらい美しい鎖骨が、ちらり。
男らしく骨張ってて。
かと思えば、曲線美。
英くんの鎖骨はとっても形がきれいなのだ。その美麗さは、思わず見惚れてしまうほど。
私の位置からじゃほんの少ししか見えないのが、非常に悔やまれるしもどかしい。