第2章 嗚呼、愛しのバーレスク!(R18:影山飛雄)
【お ま け】
「ようこそクラブキャッスルへ……お、お手をどうぞ……ぷ、プ、プリンセス」
「ああ〜ん!やだ〜ん!プリンセスだって〜! ワタシ興奮しちゃうわ!エクスタシー!」
ここは地獄、ではなく、不夜城。
今宵も大盛況にて営業中のホスト店【Club Castle】でのひとコマである。時刻は深夜二時。あの日交わした約束を果たすため、影山飛雄が精をだしていた。
否、精も根も吸いつくされていた。
「んもう!可愛いトビオちゃん! チューしちゃう!」
「……旭さん、痛いス、ヒゲが」
「やあ〜ん堅いこと言わないの! ジョリジョリー!」
もうやだ。何だこの状況。
飛雄はげっそりとして、魂が半分出かかった状態でお客さまに奉仕する。
今宵のプリンセス。
それは、この界隈では有名なダンス振付師、東峰旭だった。ちなみに彼のゲイ名は【旭☆アズマーネ】だが、それはどうでもいい余談である。
彼(彼女)は、ヘルスを辞めた絢香が現在勤めているナイトクラブ【バーレスク High Queen】の専属振付師であった。
「絢香から聞いたわよ!ワタシ感動しちゃったわ〜! 俺が受けとめてやる!でしょ? トビオちゃんかっこいい〜!」
「あ、はは……どうも」
「歓楽街に堕ちた若い二人!交わす淡い約束! んん〜いいわ〜青い春がビンビン伝わってくる! ワタシ、応援するわね、あなた達のこと!」
つーことでピンドン追加ァ!
そう付け加えた旭☆アズマーネの声は、どこからどう聞いてもオッサンのそれだったんだとか。
飛雄がナンバーワンを奪取する日も近い、のかもしれない。
【おしまい】
嗚呼、愛しのバーレスク!