第15章 禁忌(R18:岩泉一)
全身を締めつけるような息苦しさだ。
なのに、どうしてこんなにも愛おしいと思うのだろう。
膣内いっぱいに彼を感じて、私は、言いようのない幸福感に浸っていた。
「ん、んっ、あ……っはじ、め」
「ここがいい?」
「っん、すご、きもち、いっ」
「へえ、瀬野は手前が好きなのか」
先生は、なんていうか、やっぱり先生なのだと思う。
私のきもちいいところを調べるような律動と、荒々しさと交互に見せるやさしさがその証拠だ。
今だって、本当に先生が出してるのか分からないほど甘い声で「瀬野」と私のことを呼んでいる。
「ね、……はじめも、っ私の名前、」
彼に揺さぶられる声でねだった。
意識せずとも上擦ってしまうおねだり。恥を忍んで口に出した、のに、先生は待ってましたとばかりに悪戯っぽく笑むだけだ。
笑んで、それから、小首を傾げて。
「んー……まだ、お預け」
単語ひとつひとつを楽しげに落とす。
心理戦でも愉しんでいるみたいに、私の反応を窺っている。
そうやって、大人な態度をとってばかり。むう、とほっぺたが不機嫌なかたちになってしまう。
「そんな怒んなよ」
「怒ってないし、むくれてんだもん」
「どっちもおんなじだべや」
ころろ、先生の白い喉が音を立てた。
また笑ってる。
愛おしそうに漏らす、小さな笑み。
いつもは怖い顔ばっかなのにね。