第15章 禁忌(R18:岩泉一)
「じゃあ好きなだけ見とけ」
「……え、いいの、」
「おー、全部お前のもんだからな」
私の、もの。
彼の言葉を反芻するようにして心中で呟いた。
ぴと、蜜口に圧迫感。
ぐぐと花唇が割られていくのに、私は、まだ惚けたまま。
「……瀬野? どうした?」
「先生って私のモノなの?」
「は、いや、うん、お前のもんだよ」
そうか。
私のもの、なのか。
この男らしく整った顔も。
鋭くて芯の通った視線も。
スーツを着て職員室にいるあなたも、ジャージを着て教鞭を振っているあなたも、バレーボール片手にホイッスルを吹いているあなたも、全部。
私の、私だけの。
ねえ、先生知ってる?
先生ってね、本当はすごくモテるんだよ。ライバル、たくさんいるんだから。
「……でも、私の、……私の彼氏?」
「? さっきからどうしたんだお前」
「先生って私の彼氏になるの?」
「……だいぶ話が見えてこねえけど、ああ、そうだよ、俺は瀬野の彼氏になるつもりでこういうことしてるよ」
つーかじゃなきゃ抱かねえ。
彼が付け足してくれた言葉を聞くか、聞かないかのうちに、私の眦を伝いおちたのは、嬉しさであふれた涙だった。