第4章 水仙姫《1》
エルヴィンがそっとアイマスクを私に掛けた。
視界が塞がれ、途端に心許ない暗闇に放り出された気分になる。
「──ぁっ」
するっと背を流麗な指が這う。
普段ならばくすぐったいだけの刺激なのに視界を塞がれている今は弓なりに身体を反らせてしまうほどの激しさに感じる。
ベッドに四つん這いにさせられて、服を脱がされる。
露わになっていく肌に優しくキスを落としていく。
そのひとつひとつが堪らなく気持ち良くて、呼吸が短く激しくなっていった。
一枚、一枚ゆっくりと焦らす様に脱がされて、下着のみになる。
見られて恥ずかしい身体ではないつもりなのに、視界が塞がれているだけでとても恥ずかしい。
エルヴィンは私のお腹や太股を触れるか触れないかの絶妙なタッチで撫でながら囁く。
「…綺麗だよ」
囁くその声が艶っぽくて。
触れられる場所が熱くて。
堪らなくもどかしい。
触れて欲しいのはもっと直接的な場所なのに。
「エルヴィン隊長ぉ…ちゅー…して?」
触って欲しくても焦らすのが大好きなエルヴィンは触ってくれない。
それを知っているからキスをねだる。
「おねだりが上手だね…」
顔が見えなくても何時もの紳士的な最上の笑顔を浮かべていることがわかる。
唇に柔らかい感触がひとつ。
触れたかと思うとすぐ離れていく。