第4章 水仙姫《1》
「…は、ぁ…っ」
唇が離れると、身体が勝手に新鮮な酸素を求めて大きく息をつく。
頭がぼんやりして、唇がジンジン熱い。
それでも、離れていく唇が名残惜しくて、自分から追い掛ける。
はぷん、とお互いに角度を変えて噛み合う様に口付ける。
舌を舐め合い、摺り合わせたり、吸われたり、出し入れされたり。
キスって不思議。
気持ちくて幾ら重ねても足りなくて、もっともっとって何度でも繰り返せちゃう。
うっとりとエルヴィンのテクニックに酔っていると、長く美しい指が私の耳を擽る。
ゾクゾクと快感とも悪寒とも言えない感覚が背を走る。
「相変わらず耳が弱いんだな…」
「やっあぁ…っ」
擽られているのとは反対側の耳に直接囁きこまれる。
じっとしていられず、腰がうねる。
ペロリと耳朶を舐め上げられて、身を捩る。
「だ…めぇっ」
「駄目なのか?俺には気持ちよさそうにしか見えないぞ?」
再度囁かれ、固く目を瞑ってぎゅうっとエルヴィンの服を掴む。
そんな私の瞼にキスをひとつ落として、エルヴィンは黒いアイマスクを取り出した。
「こういうの…好きだろう?」
私はコクリと頷いた。