第3章 百日紅の幻想
「メイドが主人より先に気持ち良くなってんじゃねぇ」
ぎろりと睨みつけられて、泣きそうになる。
だったら初めからさわらないでほしい。
「主人にちゃんと奉仕しろ」
「……は…い」
返事したものの何をどうして良いのか解らない。
兵長を見つめたまま立ち尽くしていると、苛立った声が降ってきた。
「何にも出来ねぇなら脱げ」
腕を組んで、睨みつけているリヴァイ兵長にどうしようもなく泣きたくなって、涙が溢れる。
泣きながらエプロン、ワンピース、ブラウスと順に一枚一枚脱いでいく。
「……来い」
ぢゃらり、と重たい音を立てて鎖が揺れる。
震える足で一歩、また一歩と近づいていく。
目の前に立たされる。
恐怖と恥ずかしさで膝がガクガク震える。
そして───大きなため息がひとつ。
ため息を吐いたリヴァイ兵長は右手で頭を抱える。
「…お前は…」
「っ!?」
次は何を言われるのかと、身構える私を睨み上げる。
何か言おうと口を開き、閉じるとそのまま立ち上がり私を抱きしめた。