第7章 終息の夜に
金属器のジンは、一度認めてしまえば、主人を選べない。
その証拠にジンが認めた主にしか、その金属器は扱えず、他の誰が手を触れても、金属器はただの装飾品にしかならない。
それがわかった上で、ここにくるまでの旅の中で、金属器を手放したのだ。
金属器に宿ったジンにしたら、きっと裏切られたと思う行動だっただろう。
それくらい、ひどいことをしたと思う。
ハイリアが持っていた金属器は、綺麗な銀の腕輪だった。
祖母からお守りとしてもらった形見でもあった。
けれど、持っていたら確実にアイツに見つかってしまうから。
だから、知らない土地の土の中に埋めてきた。
店に売るということも考えたけれど、大切な形見であり、金属器でもある腕輪が、我がままだとわかっていても、誰かよくない人の手に渡ってしまうことが、嫌だったのだ。
土の中に埋められたあのジンは、今、怒っているだろうか、恨んでいるだろうか、そうされても仕方ないことをしたのは自覚している。
もし、手放さずに持っていたら、自分も彼のようにジンと仲良く生活することができたのだろうか。
何度考えても、どの方法が正しかったかなんてわからなかった。
答えがあるとすれば、それはきっと自分が選んだこの道が、一つの答えのはずなのだと、ハイリアは自らに何度も言い聞かせた。