第7章 終息の夜に
アラジンが、青い巨人を笛から呼び出してまもなく、自体はあっという間に収まった。
巨人の姿に恐れを成した盗賊達は逃げだし、そこにキャラバン長と、ライラ、サアサの救助部隊も到着した。
キャラバンの仲間の助けもあって、捕らえられていた人達はみんな解放することが出来たのである。
そして、今日は両キャラバンあげての宴となった。
盗賊がいなくなったことで道を迂回する必要が無くなり、明日はバルバッドへ行けることになった。
そのため、今日はお別れパーティもかねて、宴は盛大に行われた。
「なんだよハイリア、モルジアナ。お前ら二人とも行っちゃうのかよ~!」
酒に酔ったライラは、さっきから同じ事を繰り返しながら泣いている。意外と酒に弱いらしい。
ハイリアも何度か絡まれているが、そのたびに側で面倒を見ているサアサが上手くまとめてくれている。
明日から二人と会えなくなるのは寂しいけれど、バルバッドに到着するまでは、心強い仲間ができたので、ハイリアは寂しい反面、楽しみだった。
バルバッドの街まで、モルジアナと、その友人であるアラジンと一緒に、行くことになったのだ。
ルフをまとう不思議な少年アラジンと、ハイリアが挨拶を交わしたのは先程のことだ。
こんな小さな少年が、ジンの金属器をもつ迷宮攻略者だなんて信じられなかったけれど、実際に彼のジンを見たのだから、間違いようがない。
無邪気な顔して、きっと彼も強い人なのだろう。
「美味しいね、モルさん!」
「はい!」
ハイリアの側で、宴の豪勢な食事を美味しそうに頬張る、アラジンとモルジアナは、見ていてとても微笑ましかった。
けれど、アラジンが時折、金の縦笛に宿るジンに話しかけている姿をみていると、彼がジンを大事にしているのが伝わってきて、ハイリアは複雑な気持ちになっていた。
旅立ってから、ずっと胸の奥に感じている罪悪感が蘇るからだった。