第18章 緋色の夢 〔Ⅲ〕
「世話のかかるやつだな……」
眠りこけているハイリアを、ジュダルは持ち上げた。
水をかぶっていないのもあってか、抱き上げてみてもさっきみたいに重くはなかった。
ここまでやっても変わらず眠っていられることに、なかば感心しながら屋根から飛び降りる。
「おちゃは……もう……いです……」
むにゃむにゃとわけのわからない寝言を言い出したから、思わず吹き出した。
「おまえは、ほんと飽きねーよ」
呆れるほどに全く自覚がない疎さ加減に、少しは変化をつけてやろうかと、ジュダルは悪戯な笑みを浮かべて自室へと向かった。
目覚めて寝ていた場所に気づいた時に、少しも焦る様子がなかったのならば、それはもう本当のバカなのかも知れない。