第17章 緋色の夢 〔Ⅱ〕
「ありがとう、ジュダル! 大事にするね! 」
ハイリアが頬を赤く染めながら、照れくさそうにジュダルに向かって微笑むと、彼は急に落ち着かない様子で、視線を逸らした。
「お、おう! 」
ジュダルまで、顔をほんのりと赤く染め上げたから可笑しかった。お礼を言われることに、彼は本当に慣れていないみたいだ。
朱色の眩しい光が目に入ってきたのを感じて、空を見上げれば、特大の花火が大輪を咲かせていた。
「ねぇ、ジュダル。またお祭りがあったら連れてきてくれる? 」
「……さぁな? 俺は勝手に行っちまうけど、側近のおまえはどうせついてくるんだろ? 」
にやりと悪戯な笑みを浮かべたジュダルを見て、ハイリアもにっこりと微笑んだ。
煌帝国に来て、本当によかったのかと悩むこともあるけれど、側には気まぐれな神官と、少し気がかりにしてくれる人達がいる。
あの広い宮廷でも、ちゃんと居場所があるのだから、寂しさを感じることがあったって、きっとこれからも乗り越えていけるはずだ。