第5章 いなくなったモルジアナ
助け出しに行こうと、ハイリアが決めたのは、ほんの少し前のことだ。
けれど、よく考えてみれば、モルジアナが一人で盗賊団へ向かったとわかった、あの瞬間から気持ちはすでに固まっていたような気がする。
あんまり目立った行動はとらない方がいいのかもしれない。
いくら離れた砂漠の土地だからといって、大きく騒ぎを起こせば、それだけアイツに見つかるリスクは高くなるからだ。
けれど、このまま無視して目を背けているのは嫌だった。
音を立てないように、ゆっくりと起きあがったハイリアは、両隣で眠っているライラと、サアサをみて、心の中で謝った。
そして、起こさないように窓辺に立ち、柱を伝って二階から外に出た。
目の前には、月明かりに照らされた白い砂丘が広がっていた。
砂漠の夜は少し肌寒い。けれど、歩いたり、走ったりしているうちに身体は温かくなるだろう。
今日は月も出ているから、夜道に困ることはない。
ハイリアは、盗賊団の砦があるという、バルバッドとの国の境を地図で確かめながら、敵のアジトへと向かった。