第15章 暗夜の再会
国王とアリババの会談は、失敗に終わったらしい。
アリババ本人から、王に相手にもされなかったことを聞いたハイリア達は、アジトの外で不安がる民衆の声を、複雑な気持ちで聞いていた。
皆、会談の結果が知りたいのだ。
もう夜になったというのに、何度も『アリババ』の名を呼んでいる。
結果に落ちこむアリババに、アラジンは、民衆の心を動かしたことは、価値のあることだったと励ましてた。
けれど、王宮からアジトへ帰ってきたら、カシムとその幹部達が、姿を消してしまっていたこともあり、アリババはずっと落ちこんだままだ。
シンが『霧の団』に話しかけていたあの夜、カシムはずっと納得できないような眼差しで、シンを睨み付けていた。
彼はいったい、どこへ行ったのだろうか。
「でも……、これからどうしましょうか。『霧の団』や、外にいる人達に、事情を知らせないわけにはいかないように思います」
モルジアナが窓辺から見える、集まった民衆の姿を見下ろしながら言った。
「でも……交渉は決裂しちまったなんて、どう伝えりゃいいのか、俺わかんねぇよ……」
アリババが大きくうなだれて、頭を抱えていると、ドアがノックされた。
扉を開けるとそこにいたのは、ジャーファルとマスルールだった。
「来て下さい。シンが『霧の団』のみんなに今日の結果を伝えるそうです」
アリババは、複雑な表情をしたまま、ゆっくりと立ち上がると、案内をする彼らについていった。
そのあとに、アラジン、モルジアナと共に、ハイリアも続いた。
王宮の広場で取り乱してしまったハイリアに、あれからモルジアナも、アラジンも、無理に問いつめては来ない。
『ハイリアさんが、何に悩んでいるのかわかりません。けれど、話せるときでいいですから、教えてくれませんか? 私にできることがあれば、あなたの力になりたいです』
『みんなで考えれば、きっといい考えが浮かぶはずだよ』
泣いてしまった自分に声をかけてくれた、モルジアナとアラジンの優しい言葉を思い出した。