ごめんね、素直じゃなくて【アイナナ】R18*完結*
第5章 拉致られた私
「天?(例の話か)」
『が天を嫌いだから?』
「そうじゃないよ。仕事に私情は持ち込まないよ」
『じゃあ、どうして?』
「プラスマイナスで考えたらマイナスのが大きいから。美樹のためにならないような気がして」
『マイナス?なんで?!良い曲だよ』
「曲の問題じゃないんだよ。イメージがさ……」
「おまえバカだろ?」
「はあ?いきなり何言うのよ」
「なんだよ、イメージって」
「イメージはイメージでしょ?うちの美樹は、デビューしてまだ半年だよ?固定のファンがまだそんなについてないのに天なんかとデュオしたらファンが離れちゃうでしょ」
「そんくらいで離れちまうファンはファンとは言わねぇんだよ」
『(……誰と喋ってるの?)』
「アンタに何がわかるのよ!」
「TRIGGERの楽だからわかるんだよ」
『え?!(TRIGGERの楽って?……切った方がいいかな……)』
TRIGGERの楽だから分かる?
「良いパフォーマンスを見せればファンは納得するし、ついてくる。おまえの妹に実力があればファンは文句は言わねぇよ」
実力はあるに決まってるじゃない
美樹はその辺の顔だけのアイドルじゃないわよ。
「姉貴のおまえが信じなくて誰が信じてやるんだよ」
悔しいけど楽の言う通りだ。
美樹が最高のパフォーマンスをすれば誰も文句は言わない。美樹ならそれが出来る。
「……ありがとう」
小さな声で気持ちを伝えると大きな手が私の頭を撫であげた。