ごめんね、素直じゃなくて【アイナナ】R18*完結*
第5章 拉致られた私
「え?美樹に?」
「そう。八乙女プロダクションから正式にオファーが来たぞ。もちろん受けるよな?」
「……断りたい気分なんですけど……」
「ん?何か言ったか?」
「何も言ってないですよ……でも少し考えさせて下さい」
「考えるって……答えは決まってるだろ」
「すみません」
社長に頭を下げて部屋を出ようとドアノブに手をかけたら盛大なため息が聞こえた。
……ため息をつきたいのはこっちだよ。
TRIGGERの天の初、作詞作曲
アルバムに収録される予定の曲のデュオの相手に美樹を指名してくるなんて。
もちろん、社長は受ける気満々。
でも、うちの会社はマネージャーである私の意向、タレントの意向、社長の意向
この3つが揃わないと会社としては仕事を受けない。
美樹がこの事を知ったら絶対に受けるって言うんだろうな。
私だって美樹の喜ぶ顔が見たいから受けても良いとは思っているけど
(まあ、天というのが多少、気に入らないけど)
個人的な感情を抜きにしてビジネスとして考えても、リスクが大きすぎる。
人気絶頂のアイドルグループTRIGGERのメインボーカルである天とのデュオは話題性はある。
メディアでも大きく取り上げられるだろうし、露出も増える。
ここまではプラス。
でも、人気者の天とのデュオが失敗したら?
かなり叩かれるし、何よりファンの人達の反応が怖い。
天のファンの子たちは美樹を受け入れてくれるの?
美樹のファンの子たちは?
「あー……悩みすぎて禿げそう」
「誰が禿げるんだよ」