第4章 佐助 二人の恋心「特別ストーリー」
幸村「あいつは理屈でものを考え過ぎだ」
幸村はのんびり廊下を歩く。
佐助のなおを見る目、態度、全てがそれを表していた。
それと無く聞いても、『同郷の友人』だとしか言わない。
けどなー・・・
幸村「どう見ても友人に向ける目じゃねーよ、あれは」
早く帰れと視線で訴える佐助が面白く、つい長居してしまった。
あの様子なら、もう本人も自覚しているだろう。
夜の冷え切った空気に思わず身震いする。
幸村「俺にはいつ春が来るんだろ・・・」
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佐助「なおさん、大丈夫?」
「っ!?」
突然後ろから声がかかり、驚く。
「あ、 さ、佐助君・・・」
佐助「お酒、結構飲んでたから」
なおに歩み寄り、顔色をうかがう。
佐助「顔、赤い」
「あっ、これは、・・・大丈夫、そんなに酔ってないよ」
笑顔は見せるが、目は合わせられない。
指で膝に触れられた感覚が甦り、余計に顔が熱を持つ。
炬燵で寄り添っていた時の、回された腕の重み。
見つめる眼差しが・・・
「わ、私っ、そろそろ失礼しようかなぁ!? また遊びに来るねっ」
脇をすり抜けようとしたなおの身体を、佐助の腕が抱き留めるように捕まえる。
佐助「送っていく。 と、いつもなら言うところだけど」
そのまま背後からそっとなおを抱き締めると、
佐助「帰せないんだ、今夜は」
「えっ あの・・・」
佐助「俺も酔ってはないと思う。けど、顔が熱い」
なおの耳元で、囁くように佐助が続けた。
佐助「友達だと思ってたんだ。現代から来た、大事な仲間だって」
佐助の腕に、力が籠る。
佐助「なおさんを守ろうと・・・どんな時でも助けてあげられるように、なおさんの為にって・・・」
「・・・っ」
耳にかかる佐助の声が、なおの顔をより紅潮させる。
佐助にもきっと伝わってしまっているだろう。
こんなに胸が音を立てて、身体が震えてしまうくらいなのだから。