第9章 一緒に…!☆翔
「…………………………………」
演技は終わったものの、気まずい雰囲気が流れる。
どちらも口を開かない。
というか開けない!
(さっき…キスされた、よね…?)
信じられない。
でも背を向ける翔先輩の首筋が赤くなってるのを見て、嘘だとも思えなくなる。
『本音をぶつけ合う』
テーマが頭の中をよぎり、私の中には嬉しさと期待が生まれ始めた。
(も、もしかして…翔先輩も…?)
舞「あっ!あの…!?」
翔「あ、あのな!さっきのことは気にしないでくれっ!え、演技だからな!!ちょっと外に出てくるっ!!」
早口でそう言って、私とは顔を合わせてはくれなかった。
(演技…)
その言葉は私の心に傷を残す。
嬉しさは悲しみに、期待は空虚感に変わる。
ぐっと唇を噛み締めた。