第8章 大きな壁☆真斗
真斗「今日は俺がやるから休んでいろ。疲れてるだろう?」
片づけの時、真斗はそう言った。
普段通りを意識しながら私は口を開いた。
舞「そんなことないですよ!平気で…あっ!」
手からはお皿が滑り落ち、ガシャンと音を立てて割れた。
舞「お皿が…!……っ!いた!」
慌てて触ったのがいけなかった。
指を切ってしまう。
真斗「大丈夫か!?」
私の手を取り、口に含んだ。
いつもなら照れるところだろう。でも今日は悲しみの方がよっぽど大きかった。
真斗「…何かあったのか?」
私の様子がいつもと違うからだろう。そう訊ねてきた。
舞「えっ?なんにもありませんよ~」
すました顔でそう答えると、納得したように「それならいいのだが。」と言うだけだった。
自信の演技力に感謝するとともに、寂しい気持ちが湧き上がった。