第8章 大きな壁☆真斗
舞「ふぅ…」
私の口からは無意識にため息が漏れた。
今日はまた別のオーディション。
この前の撮影も終わったので、立て続けに2つ受けることにしていた。
舞「はぁ……」
先ほどよりも深く息をつく。
(お前、大丈夫かよ…)
(そうですね。駄目だと思います。)
舞「うるさい……」
私は他の自分に向かって、ぼそりと呟く。
普段よりも目つきも悪くなっている気がする。
(…へいへい)
(まあ、今日はあなたに任せますよ。)
そう言うと二つの声が消えた。
(…あの……頑張って、ね。無理しちゃ…ダメ。)
静かになったことで、普段はあまり聞こえない声が聞こえ、その声もふっと消えた。