第8章 大きな壁☆真斗
結論から言うと、彼女の演技は誰から見ても圧倒的だった。
私も見入ってしまった。
まるであの役は彼女のためにあったかのように…
(負けた…。)
直感的にそう思ってしまった。
ーーーーーーーーーーーーーー
「この役は柳沢美帆にやってもらいたい。」
やっぱり彼女だった。
背中に痛みが走る。
息がつけない…。
心臓が痛い…………。
苦しい…………………………!!
お疲れさまでしたと言い残し会場を後にする。
誰もいないところまで来ると、その場にうずくまった。
……なんなの?いったい……?
苦しいよ……!
私はぐっと目を閉じてその痛みに耐えた。
目からは涙が零れそうだった。