第3章 日向順平
結局、俺の告白はまたしても不発に終わった。
放課後、部活前に更衣室で再び伊月が声を掛けてきた。
「よぉ日向♪ 今回は成功したみたいだな♪」
「まぁ……一歩前進ってくらいだけどな?」
「ん?」
「ん?」
俺たちは顔を見合わせた。
お互いの思考に食い違いがあるようだ。
「お前、付き合えたんじゃないのか?」
「いや……千穂から答えは聞いてない……つもりだけど?」
部活が終わった後、千穂の家まで行ってみた。
「ひゅ、日向君……どうしたの!?」
「いや、あのさ、俺……ちゃんと答え聞いてなかったと思って……?」
「え!? あれ? 私言ってなかった??」
「俺の認識では……言われてない」
「うわぁ、またやっちゃった……」
一人でワチャワチャとしている千穂が愛おしくももどかしい。
「日向君!」
「はい!」
「私と付き合ってください!」
「はいっ? ……はい!!」
おかしな告白だけど、俺のまどろっこしい告白よりは幾分ましだろう。
こうして俺たちは、無事に?交際を開始したのだった。
END.