第3章 ノエルという少女
「リヴァイはどう思う?」
ノエルが出ていったあと、エルヴィンがリヴァイにそう問うた。
「どう、って何がだ」
エルヴィンが決まっているだろう、という顔でリヴァイを見て答える。
「ノエル・べネットのことだ。彼女はそこらの兵士と顔つきが違う。生きていながら、死んでいるかのようだ」
「ああ、それはおれもそう思う。年相応の顔ってものがあんだろ。あいつは表情をぴくりとも変えねえ」
「まあ、そこでだ」
エルヴィンが口角を上げる。
リヴァイは心底嫌な予感がした。
「リヴァイには彼女の教育係になってもらおう」
「お前がそういう顔をするときは、大抵ろくなこと言わねえ。なぜ、おれがしなきゃならない?」
「ノエルはお前のことを相当慕っていただろう?」
「チッ·····めんどくせえ」
「案外、満更でもないだろう?文句を言いながらもしてくれるということをわたしは知っている」
リヴァイもこう言われては断れない。
エルヴィンもそれを知っている上で、この言い方をしたのだろう。
「チッ·····わかった」