第2章 壁外調査
本部に持っていったのはいいが、結局、アニを覆っている硬物は砕くことはもちろん、傷ひとつ付けることが出来なかった。
そしてわたしたちは何の成果も得られないまま壁内へと帰還した。
アニは目立つといけないので、唯一残っていた荷馬車に積んで、布を被せた。
「今朝よりも随分と数が減っていないか?」
「結局はこうなるのか」
わたしたちを出迎えた人々がそう呟く。
わたしはそれに苛立ちを覚えた。
わたしたち、調査兵団は怖くて壁外に出られない臆病共に代わって、人類の進歩のために命を掲げてきた。
その仕打ちがこれか、と。
これが、わたしにとって初めての壁外調査の思い出だ。