第5章 花蟷螂 ※一応R指定
門を出てしばらく歩いた所で、それは突然起こった。
濃鼠色(こいねずいろ)の煙が立ち込めたと思うと
私を取り囲み、ぐるぐると渦を巻き始めた。
すぐ傍から伸ばす鬼灯様の手をはじき飛ばし
そのままの勢いで私の体ごと舞い上がる。
「槐さん!!!!」
「なに!?これ!?鬼灯様!!助けて!」
私の名を呼ぶ鬼灯様との距離がたちまちに開いてゆく。
そちらを向こうとしても
濃鼠の煙は視界を遮り、朧な影しか見えない。
ふと、上の方から声が降りかかる。
「ふふ、捕まえましたよ。さぁ、わたくしの庵室へ参りましょう・・・」
見えない声の主に、まるで獲物を待ち構えていた花蟷螂のような気配を感じた。